第三部:事件を追い、春へ。

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少々呆れ気味だが、本音を言う木葉刑事。 個人が犯罪に成る様な事をして女性を獲得しているならば、それは不味いが。 女性から好いて近付き、男性が受け入れるならば恋愛として自由の範疇と思う。 其処に、飯田刑事が。 「一人の相手を本気で愛せない奴なんか、大した奴じゃない」 今時にして、堅い言い種。 納得した木葉刑事と里谷刑事だが。 イケメンを押し出した里谷刑事は、全面的に賛同を言えず。 「それが理想的じゃい」 と、気まずそうに言った。 然し、話に聴くだけで40人近い関係者が浮かび上がる。 捜査本部の設置が遅れている為、望月主任に連絡し。 寮への聴き込みと、防犯映像の回収を優先させて欲しいと伝えた。 其処へ。 「あのっ」 女性の声がする。 3人が声の方に向けば、とんでもない美人の女性が足下が危なっかしそうに来る。 首まで伸びた黒髪、小柄な姿ながらもトップアイドルみたいに若さと美しさが同居した女性だ。 何とか云う今流行りのアイドルグループに入っていても可笑しくない。 歩みに気を取られない木葉刑事が近寄り。 「あの、我々ですか」 前に来て頭を下げる女性は、 「私、『大山 可世』《おおやま かよ》って言います。 この大学の学生です」 と、言って来る。 名前の漢字を聴いた木葉刑事が。 「それで、何か?」 「はい。 私、昨日の夜に・・種蒔講師と会いました」 「ほう。 何時頃ですか?」 「夜の10時過ぎだと思います」 「あ、お付き合いをされていた?」 「違いますっ」 キッパリした様子でこう云う彼女の周りに、種蒔氏の幽霊は居ない。 が、誰か解らない位に、思念の粘着した黒いものを視る。 (これだけ容姿が良いと、色々な思いを持たれる訳ですな) そう思う木葉刑事に、大山なる女性は言った。 種蒔なる男性は、講師と云うがその才能は微妙らしい。 彼は、女性を主に優秀な学生の才能を借りてステータスを維持していると。 この大山なる彼女は、物理学を専攻し、素粒子物理学者を目指すらしい。 大学3年生の彼女は、もう大学院に行ける用意は出来ているので、自分の研究に打ち込みたい処だが。 種蒔氏から一方的に言い寄られて困っていたとか。 昨夜、寮に居た処で呼び出され、彼から何度目か解らない告白の返答を聴かれた。 繰り返す形だが、ハッキリと断ったらしいが…。 「調べられたら、直ぐに解ることなんで。 先に、言わせて頂きます」 と、頭を下げる彼女。
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