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だが、彼女に一歩を近寄る木葉刑事。
「あの、種蒔さんから呼び出された、と仰いましたよね?」
「はい」
「女子寮・・ですよね?」
「あ、は・はい、それが?」
「種蒔さんは、どうやって貴女を呼び出しました? 電話ですか?」
「コミュニケーションアプリです」
「アプリでやり取りする仲なんですか」
「それが…」
物理系のサークルに入る彼女だが、サークル仲間の誰かが彼女のアドレスを教えたらしい。 一年前ぐらいか、サークルに種蒔氏が入会していて。 個人だけでやり取りする形で、告白され続けていた。
「貴女は、それを断り続けている?」
不満全開の彼女。
「種蒔さんの彼女は、みんな彼の尻拭いをさせられる。 用が無くなって飽きたら、変な男性の集まる場所を紹介させられるって噂が…」
イケメンの化けの皮が剥がされる様で、里谷刑事も、飯田刑事も、仕事の熱意では無く、人に対する意味で覚めて来た。
まだ疑問が沸く木葉刑事は、彼女に。
「もう少し、御話を聴いて宜しいですか? 何度も来るより、少ない回数で終わらせたいので」
「はい。 ならば、此処は寒いんで。 学食の方に行きませんか? 暖かいし、お昼がまだならば利用が出来ますよ」
「我々も、大丈夫なんですか?」
「私のIDで」
「では」
学食に向かうと、和食レストランと洋食レストランが併設されていた。 コーヒー専門店も入り、学食とは思えなかった。
さて、某一人だけ、ガッツリと食事を頼んだ。 金は自分で出したが、飯田刑事も呆れる。
「里谷よ」
「いいの、いいの…」
そんな方を横にして。 まだ事情を聴いて無い人物を大山なる彼女から教えられた飯田刑事は、大人びた年輩女性の准教授をすぐ近くで見掛けたので話を聴きに席を立つ。
木葉刑事は、コーヒーを片手に。
「処で、そのアプリに種蒔さんを招待した人物に、貴女として心当たりは?」
大山なる女性は、香り高いカツカレーを前にし。
「種蒔講師の人脈は、女性を主にかなり広いみたいです。 学生や講師ながら付き合ってると噂の女性が、何でか他の男性と一緒に歩いていたりして…」
「ほう」
何時か、種蒔氏と関係が有った女性の学生が、他の男性学生と肩を組んで歩いていたとか。 種蒔氏と別れたと思ったにしては、別の日に種蒔氏と隠れてキスをしていたのを目撃したのだと。
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