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帰ろうと踵を返そうとした瞬間、遠くに安心できそうな明かりが漏れている。
興味が出てきたので近づいてみると、バーラウンジの店だと判明する。店名は「ヘヴィリリー」。
建物の窓から中を覗いてみる。人が少なく、あまり繁盛してるようには見えない。ブロンドが2人と、短髪で精悍な印象の男性が1人。それらは店の制服と見られる服を着ている。後は客らしく、思い思いのカクテルを飲んでいる。
内装はシックなもので、一般的に「バーラウンジ」と言われて想像がつくものだ。
自分には程遠い世界だな、と思っていると、ブロンドのバーテンダーと目が合った。目が合ってしまっては、そそくさと帰る訳にはいかない。財布の中を確認した。カード払いができるならカードで支払おうと思ったが、それ以前に残高が心配だ。
(安酒1杯で帰ろう……)
そう思いながら、「ヘヴィリリー」の扉を開ける。
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