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「クリフォードはかなり重症のようだ。このまま前に進むのは難しい。早急な決断が必要になると思う」
ブレ博士は言い終えたあと、魂を吐き出すかのように大きなため息を吐いた。
「マグガイバーはすぐに帰した方がいい」
マディソンは即答した。
「ドクター・フィリップスは遺伝子治療の専門医だし、充分とは言えないが治療薬もある。コロニーの設備なら命を救えるかもしれない。治療開始は早ければ早いほどいい」
さすがに撤退、前進の判断の速さでは、長い軍隊経験が生きている。
「ユージン、バギーなら飛ばせば数日で帰って来られる。キャメルなら四人を乗せても、オリンポスまで辿り着ける。もともとそういう計画を練った時期もあったじゃないか」
ブレ博士は腕を組んで、目を閉じた。長い時間が経った気がしたが、沈黙はほんの数秒だったのかもしれない。司令官は再び目を見開き、無線のスイッチを入れた。
「分かった。すぐに二人を帰還させることにしよう。言うまでもないが、計画全体を練り直さなければならないな」
「了解。我々も日没後、すぐに戻る」
太陽が地平線から沈んでしまえば、宇宙線量は大幅に減る。たとえ真っ暗闇の中であっても、昼の移動よりは安心だ。
「くれぐれも気をつけて」
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