24.放射線事故

6/6

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/295ページ
「一人でも全く問題ないと思います。たった一日、二日のことですし。これまでもそういうことは度々ありました。向こうでも多分…」  ブレ博士はジェニファーの言葉を遮った。 「ジェニファー、単独行動がどれほど危険なものか、それは君が最もよく知っているはずだ。これまでは何とか無事だったが、今回もそうだとは考えない方が良い。さらに言えば、君はアマゾニス平原の中央部を走った経験が少ない。トラブルは得てして連鎖するものだ。今回に限って、単独行動は許さない」  ブレ博士はきっぱりと言った。ジェニファーの神妙な表情は、その言葉を受け入れたことを表していた。しかし、彼女はすぐに口を開いた。 「それじゃ…。ケイと一緒に行きます」  ケイは一瞬我が耳を疑った。全く想像もしていない言葉だった。 「いいでしょう、ケイ。どうせオリンポスに行くんだし、もう出発準備は整っているんでしょう? 陸路の方が特ダネはたくさんあるわよ」  ジェニファーは何もかもお見通しなのだ。この言葉にケイは滅法弱い。ブレ博士はケイの諦め切った表情を確認して、微笑んだ。 「救援メンバーは決まったようだな。ジェフにとってはきつい旅になるかもしれないが、これだけは言える。とてもエキサイティングな旅になる。個人としても、ジャーナリストにとしてもね」
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加