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「二日…。ということは十二時間もあれば出発できるということね」
ジェニファーの言葉に、バーグマンは苦笑した。
「ジェニファー、いくらなんでもそれは無理だよ」
「でも、修理時間の申告は大体、実際の四、五倍なんでしょう」
バーグマンは笑いながら言った。
「かなわないな。確かに二日は多過ぎるかもしれない。でも、一日は確実にいるよ。エンジンをきちんと慣らさないと、すぐにぶっ壊れてしまう。メタンは厄介な代物なんだよ」
「分かったわ。それじゃ、きちんと計算しましょう。私たちを残して、いっぱい荷物を下ろしたキャメルは、何日でオリンポスに着ける?」
答えたのはピカールだ。
「四人の体重を合わせて二百八十㌔、バギーの予備燃料電池が百㌔、生命維持装置が五十㌔、それにハブ関連で百㌔弱。これだけでも五百㌔は軽くなる。それに水素や酸素、水の分がある。全部合わせると七百㌔近い荷物を降ろせる計算だ。重力が地球の三八%としても、相当な効率アップが見込める。スピードが上げられたら、六日程度で着けるだろう」
「ということは、行きに六日、新しいビークルの調整に二日、迎えに来るのに五、六日。あと十四日頑張ればいいのね」
ジェニファーの口調は明るかったが、ケイは絶望的な思いで会話を聞いていた。しかし、ピカールとペーターは俄然元気が出てきたようで、生き生きとしてきた。
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