4.天才アダム・ブレ

3/6

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/295ページ
「それにしても、九歳で相対性理論を理解するとは、随分早熟ですね」  この質問にもサラが答えた。さきほどと違い、少しイライラしたような口ぶりだった。 「地球でも小学生が大学に合格したりすることもありますわ。アダムの場合はたまたま数学的な理解が少しだけ早いだけです」  サラはこの話題を好まない風だ。アダムを「特別な子供」と見ることが嫌なのかもしれない。ケイは質問を変えることにした。 「アダム君は普段、どのような遊びをしているか教えて下さい」  アダムはこの質問に少し考え込んだ。 「農場で遊ぶことが多いかなあ。あそこだと、いつも誰かがいるし。シャルルが来ていたら、バスケットができます。あとは、本を読んだり、勉強をしたり、そんな感じかなあ。あ、そうだ。料理をお手伝いするのも好きですよ」 「料理?」 「パンを焼いたり、パスタを作ったり。お話しながら作ったあとに、みんなで食べるんです。とてもおいしいし、楽しいです」  アダムは初めて少し微笑んだ。リラックスしてきたようだ。笑顔は普通の九歳の少年のものだった。 「これには少し補足説明が必要ですね」  少し怪訝な表情をしているケイに向かって、再びサラが助け舟を出した。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加