45.新しい命

2/7
前へ
/295ページ
次へ
 ジム・マディソンとジョルジュ・ピカール、キム・デヒョン、ミヒャエル・バラックは、主にコロニーの生命維持機能を強化する作業に忙殺されていた。  特に、ピカールは燃料電池や太陽電池を使って、万一に備えた電力のセーフティー・ネットを構築するために、寸暇を惜しんで働いていた。キャメルとバギーのビークル二台に搭載されていた予備の燃料電池や太陽電池もフル活用している。もちろん、クリフォードとアダムが合作した風力発電装置もハブの生命維持装置を動かすのに微力ながら活躍していた。電力は1㍗たりとも無駄にはできなかった。  ジェニファーは、クリフの要望を満たすだけのボーキサイトやチタンの鉱床を探しにタンクで調査に出掛ることが多かった。調査旅行は、日帰りのこともあったが、通常は三、四日かかった。 「とっても快適なのよ、タンクのハブは。カールより過ごしやすいかもしれないわ」  ジェニファーはそう言って、他のコロニー住人を羨ましがらせていた。オリンポスで活動を本格化させてから、彼女はこれまで以上に快活に見えた。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加