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「映像データをハブのイントラネットに配信するのは、ホスト・コンピューターのソフトウエアをちょっとプログラミングするだけで解決します。方法はウエブと一緒です。実は、ハブ内に送信する装置のプロトタイプを作ってみたんです。順調に作動しました」
アダムが驚くべき話をしたのは、計画を持ち掛けてから、わずか一週間後のことだった。
「プロトタイプって、まだ一週間しか経っていないよ」
「クリフォードが手伝ってくれたから、ほんの二、三日で完成しました。そんなに難しい機械じゃないし…。あ、そうそう、クリフォードは、初代のマーズ・フロンティア特派員になると張り切っていましたよ。でも、それは僕の仕事ですよね」
「ああ、初代のレポーターは君だよ。クリフォードもすっかり回復して、元気そうじゃないか」
「クリフォードは元気、元気ですよ。医療室に行くのは、週二、三回に減ったし、バスケットも短い時間ならできるようになりました」
「それは良かった。ところで、例のアンテナの件だけど」
「ああ、そうでしたね。フロンティアには今、ビークルがラボ・カー一台しかないから、遠くまで作業には行けません。作業に当たれる人もいないし、高い鉄塔を造れるだけの資材もありません。オリンポスはもっと難しいしょう?」
ケイはかなり落胆したが、一生懸命なアダムを気遣って、努めて平静を装った。
「焦ることはないよ。次のエンタープライズが来る頃には、状況が少しは変わっているだろう」
「でもね、僕考えたんです。来月に飛行機の試作機を飛ばすでしょう。これをうまく使えないかなって」
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