49.マーズプレス開局前夜

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<空想のように聞こえるだろうが、実はアダム・ブレを中心としたプロジェクトが明日、UHF波を中継するアンテナ気球を上げてくれる。これがうまくいけば、火星のテレビ放送はぐっと現実に近づく。明日、コロニー間を初めて飛ぶ「ジェニファー・ゼロ」のニュースとともに、マーズ・プレスの話題も送っておくよ。  これから火星人口は確実に増える。人が増えれば、この種の仕事はいずれ必要になる。それはデイブも分かってくれるだろう?  局長には別便でメールを届けておいた。マーズ・プレスの代表として、火星にしばらく留まりたいと書いたよ。約束事は簡単だ。一つ、ニュース配信はUNNとの独占契約。もう一つ、俺自身の身分は、マーズ・プレスへの出向という形をとる。火星にいると地球の貨幣は価値をもたないので、給料やボーナスは支払わなくて良い。給料やボーナスに相当する分で、カメラやコンピューターなどの機材を送って欲しいと書いたよ。もう一つが極めて重要だ。局に不利益をもたらさない限り、俺を火星から強制的に帰還させない。  どうだ、いい条件だろう。ブレ博士の許可をもらって、クリフォード・マグガイバーとアダム・ブレ、シャルル・マルソーをスタッフとして雇ったよ。オリンポス側では、スチュワート・マクグレイスとマーカス・アンドレッティが協力してくれている。スチュワートは覚えているよな。俺たちが大砂嵐の中で籠城していた時、僕のヘルメットカメラでいろいろ撮影してくれたMSだよ。もちろん無給だが、彼らはやる気満々だ。>
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