8.ダンクシュート

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「どうだね」  マディソン副司令が、探るような眼差しを、ケイに向けている。 「驚きました。重力が三分の一しかないということは、こういうことなんですね」 「なかなかのジャンプ力だね。若いだけのことはある。そういえば、アイスホッケーの選手だったな。すぐに、クリフォードと同等のプレーができるようになるさ」 「クリフォードはバスケットの選手だったのですか」 「ああ、あの身長だからね。彼はね、地球では百九十センチあるかないかの身長だったのだが、ここに来て三年足らずで十センチ以上も身長が伸びたのだよ。もっとも、ここに来ると、ほとんどの人間は身長が何センチかは伸びるがね」  ケイは再びレイアップ・シュートに挑戦してみた。今度はジャンプの力を調節し、上手にシュートを決めることができた。アダムが拍手している。リングを通って落ちてきたボールを拾ったケイは、両手でボールをつかみ、思い切りジャンプして、今度はダンクを決めた。生まれて初めて決めたダンクは、とても爽快な気分をもたらしてくれた。自然に笑みがこぼれた。 「チームのメンバーが一人増えたな」  マディソン副司令がつぶやいた。コートサイドに歩いていくと、マグガイバーがケイに向かってタオルを放り投げながら言った。 「火星は低重力なので、トレーニングしないと、筋力や心肺機能が低下してしまう。こうしてバスケットボールで汗をかくのも、地球に帰る日のための大切な訓練なんだ。部屋の中で自転車を漕いだり、器具で筋肉を鍛えるだけじゃつまらないだろう」
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