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色とりどりの花たちに囲まれて、だらしなく表情を弛ませている彼。
知ってるのかな。あなたを取り囲んでいる一見華やかな彼女たち、実は毒花だらけなんだ。
今まで振り向きもしなかった、それどころか蔑んだ目であなたを嘲笑していた彼女たち。
あなたが成功した途端、名声を得た途端、お金を持った途端、目の色を変えて、彼女たちは擦り寄ってきた。あなたの周りに群生し始めた。
あなたの側にはいつでも私がいたのに。幼馴染の私がいたのに。
可憐ではないけれど、華美ではないけれど、そっとあなたに寄り添って咲き続けてきた小さな花。
綺麗ではないけれど、派手ではないけれど、ずっとあなたに寄り添って支え続けてきた一輪の花。
地味で目立たなくて冴えない色の私。
そんな私のことを見つけてくれたのは、愛でてくれていたのはあなただけだったのに。
でも、もういいんだ。
私のもとを去った彼には、今はもうそんなに執着はなかった。
だって私を見つけてくれた、優しく包んでくれた、そんな素敵なひとが現れたんだもの。
だから、サヨナラ。私は光差す別の場所で、新しい彼の為にひっそりと咲き続けていきます。
私は彼に背を向けて、新しい道を歩み始める。
私の通り過ぎた道の両端で、花が咲き誇っていた。
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