ヨコジュンの恩返し

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♪アタリを付けましょ、犯人に。ハナを明かそう、ホシのハナ。誤認逮捕も怖くない。わたしは、刑事の比奈真津利~~~♪  俺は、歌う。なにしろ、俺がこのアニメの作者だからだ。  ”刑事ひなまつり”は、俺が女の子向けに描いた大ヒットギャグ漫画が原作なのである。”なぜか”特別刑事の資格を持つ少女刑事が、やたらに強引な捜査で事件を”終わらせる”ハチャハチャギャグ漫画。  ”警察の威信を傷つける”とPTAとかからクレームがついているが、どこ吹く風。偉ぶっている警官をからかい、そういう教育ママたちをギャフンといわせるギャグが、このマンガの真骨頂なのだ。  だから、これを読んだ子供たちは、この大人たちの右往左往する滑稽な姿を腹を抱えて笑って、溜飲を下げ、快哉を叫ぶわけである。  なぜそれがわかるか、それは、俺が、彼らと同じ世代の人間だからだ。  ”なぞの大作家”、超天才中学生ギャグ漫画家、ヨコジュンこと横田順弥とは、俺のことなのである。  ゆえあって、俺はなぞの宇宙人によって、俺の隠れた才能を無理やりに開花させられて、今に至っているのだよ。  ちなみに、同じように超天才になった仲間が、あと5人いるのである。みんな、それぞれに己の超天才を開花して、学校をサボって、人知れず活躍しているのだった。 「今日も、絶好調ですね、ヨコジュン」俺の美人秘書、ケイコたんが俺を見下ろして言った。  残念ながら、俺が見下ろせるのは幼稚園児以下に限られてしまうのだ。才能は開花したが、身長は開花しなかったのである。 「当然でんがな~」  しかし、そんなことに、俺は、めげないのである。そんなことにめげてたら、締め切りは守れないのだよ、諸君。 「当然だよ~、いつか、ギャグ漫画家だけの集まりを作れないか、考えているんだよね」 「はあ」 「名づけて、全ギャグ連・・・だめ?」 「なんだ、冗談ですか?」 「どうかな、赤塚先生に代表をお願いして」 「赤塚先生もお忙しいですよ、そんな冗談につきあってはいただけませんってば。そんなこと、考えないで、仕事してください」 「じゃあ、ボクたちみたいな子供は?名づけて、全ガキ連・・・」 「はいはい、仕事、仕事・・午前中に締め切りを上げられれば、お昼からの授業にはいけますし、そのあとも自由時間になりますから」 「なんか、久しぶりな感じだなあ」
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