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人気者である加野くんだって休み時間ごとに色んなクラスの人達にわいわい囲まれて忙しい筈なのに、そんな集団の中に居ても俺へガンを飛ばすことは忘れない。
…もうある意味律儀だとすら思う。
振り返った俺とバチッと目が合うと、加野くんは眉間の皺を一層深くしてふいっと自分のグループの方へ視線を戻した。
俺から目を離した瞬間に眉間の皺なんて嘘のように消え失せ、そうして何事も無かったかのようにまた色んな人の中で笑っている。
何だよ、俺以外にはあんなに柔らかい笑顔を向ける癖に…。
何だって俺ばっかりあんなに睨まれなきゃならないんだ。俺が何をしたっていうんだよ!
「笑うときらきら王子なのにね」
「なぁ、俺何かしたっけ…」
「まぁ元気出せよ、ほら。チョコやるから」
「…子ども扱い。いいんだ、俺には花本さんがいるから」
「あぁ、お前にはちょっと高嶺の花なんじゃあ…」
「馬鹿っ!そこは嘘でもそうだなって返してやれよ!まぁ俺も緒方にはちょっと合わないと思うけどさ」
「お前らさ、遠慮って知ってる?…もぉいいよ」
もう考えるだけ無駄だと思って、俺も自分のグループの奴らと再び談笑を再開した。
その背中にまた鋭く光るナイフのような、けれどどこか寂しげな視線が向けられていることには気付かずに。
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