巣立ち

2/14
前へ
/100ページ
次へ
「ここなら大丈夫だ、ソラ。もう安心だ」 聞き慣れたお父さんの声。とても安心する。大丈夫なんだ。 「良かった……。これから急いでここをあなたのネストにするからね。必要な物は最低限揃っているわ」 お母さん。いつも優しい。 「お前の新しいサーチアライフと、最低限必要な設備、装備はお父さんとお母さんのサーチアライフを解体すればゲノムも足りる。後はしばらく眠っていて、周りが落ち着いたら……それからはソラ、ひとりで生きていくんだ」 「ソラ……ソラ……」 お父さんとお母さんのゴツゴツしたサーチアライフの両腕が、ボクの本体の体をぎゅっと抱きしめる。機械で作られたサーチアライフ、なのにお父さんとお母さんの温もりが伝わってくる。 「じゃあさよならだ、ソラ。愛してる。そしていつでもお父さんとお母さんはお前と一緒だ」 やだよ……お父さん……お母さん……
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加