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いじめられっ子
俺の幼馴染みだった女が昨日、目の前で自ら命を絶った。
わざわざ人気のない廃虚になった小学校の屋上まで行って、泣き顔を見せながら暗い木々の海へと落ちていった。
雫の1つも見せなかった俺の目には今までで一番美しい泣き顔が焼き付いていた。
俺はそいつから手紙を預かっていた。
半年たっても見つけてもらえなかったら書いてある住所へと届けて欲しいとのことだった。
そんな役目まであるのに、幼馴染が命を絶つのを止めなかったのはただ単にどうでも良かったからなのだろう。
「死にたいの!」そう言っていた彼女は触れただけで崩れてしまいそうな、しかしそれでいて綺麗な笑顔だった。
そんな彼女に「手伝ってほしいの」と言われても別に動揺の欠片もなかった。
彼女の思惑通り、丸一日がたってもそんな話は一欠片も流れて来なかった。
冬休みなのも彼女の計画だったのだろう。
寒さの厳しいこちらでは下で食料を冷やせるほど雪が厚いからだ。
今頃彼女の体は白で埋め尽くされているであろう。
………………
そんなことを考えながら俺の一日が終わった。
だが、あとほんの少しすればこんなことを考えなくて済むだろう____。
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