67人が本棚に入れています
本棚に追加
ラシェルは底知れない恐怖を感じて、ゆっくり後ろに下がった。
「ちょ、ちょ、ま、待って。なに、胴上げって、別に僕、そんなっ、ぎゃ――――っ!」
いつの間に回りこんだのか、背後からルイ・ジョセフに両腕を抑えられた。触れた瞬間、人肌の弾力と同時に氷のような冷たさを感じて、彼らが幽霊であることを改めて知る。
緊張でこわばる身体が、これまでにない奇妙な浮遊感を伴った。
『おお、触れんじゃん。ひゃっほーい』
『せーの、そーれ。ふふふ、久しぶりですね』
『……そうだね』
『うむ』
近くなったり遠くなったりする天井を見上げて、何が起こっているのか理解できないまま。
ラシェルの意識は、すこーんと飛んでいった。
*
最初のコメントを投稿しよう!