郁子先生

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そして、結構オットリしている先生でしたが不正は黙っていませんでした ある日の朝、登校すると今日提出する宿題を忘れたと言って友達が私に見せて欲しいと言って来ました 私は見せてあげました 彼女は後で知ったんですが丸写ししたらしいんです 提出の翌日、郁子先生から職員室に来るようにと言われました 写した彼女も呼ばれていました 郁子先生は 昨日提出してもらった宿題が二人のものがよく似ていたんですがどうしてですか? とのこと 私は友達も横にいましたし写させてあげました とは、言いにくくて口ごもっていました すると、友達が 私が写させてもらったんです どうもすみませんでした と、正直に言ってくれました 先生は そうですか わかりました、じゃあ、もういいですよ と、だけ言って返して下さいました 友達が先に職員室を出たところで先生が再び私を呼び止めて あなたが写すわけないと思っていましたよ とだけ言って下さいました 私は深く一礼して職員室を出ました 教室に戻るとさっきの友達がごめんね、と言って来てくれて気持ち的には何のシコリも残りませんでした それから先生は高校を去り、大学に戻って国文学の学者になられたようです 何年も経って思いがけない訃報を新聞で見たのです 乳がんで死去とありました まだ60歳代、若すぎる死でした     
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