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ないか。そうだ、もうこの便器は僕だけの便器じゃない、みんなの便器なんだ。
「そうか、オマエはそのための便器だったんだね・・・・・・」
僕はその時、始めて便器の存在意義に気がついたような気がしていた。そしてこれまでの度で、ずっと肩にのしかかってきた重みの意味について、ようやく自分なりの解答をえたような気がして心が安らいだのだ。が、しかしその考えも長く続くことは無かった。
グギュルルルルゥゥゥゥ
「グフゥ」
再び差し込むような痛みを感じて、僕は腹を押さえてうずくまった。
「だっ大丈夫大丈夫、便器はすぐ目の前にあるんだから・・・・・・あ、これは何だ?」
僕は腹を押さえてうずくまっていて便器を下から見上げていた。そして、その後ろにある自分たちが今まで太陽の日差しから隠れるために利用していた岩場を反対から見上げる格好になっていた。
「こ、これは何だろう。何だか人の顔のように見える・・・・・・」
便器の後ろにそそり立つ黄色い岩の表面には、細かい凹凸があって太陽の光を浴びて巨大な人の顔の様な模様を作り出していた。
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