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太陽の光が僕の後頭部に容赦なく照りつけてくる。頭が暑さでガンガンしてきて頭が痛くなってきた。お腹はズキズキとした痛みが断続的に続いている。体中が冷や汗でびっしょりに濡れていた。僕はどうしようも無くなって、諦めて便器の蓋から手を離した。そして目の前の人面巨石をどうしようの無く見上げていた。
見上げた人面巨石に刻まれたその顔は、便器の蓋さえ開けられない僕を何だか怒っているように見えた。しかしジッとその鬼のような形相を眺めていると、何だか安らかで優しい顔にも見えてきた。不思議な顔だった。
「まるで、鬼と菩薩が一つになったような、そんな不思議な優しさと厳しさを感じる・・・・・・」
グギュルルルルゥゥゥゥ
最後の差し込みが僕のお腹を襲った。しかし僕はもう、その痛みに抵抗はしなかった。
「目覚めよ、目覚めよビ×グ×よ・・・・・・」
誰かの呼びかける声が聞こえる。声はどうやらオレに呼びかけているようだ。しかしオレの体は痺れていて手足を動かすことさえ出来ない。
誰だ、誰なんだ。このオレに話しかけてくるのはいったい誰なんだ。
「私が誰かなど、それはどうでもいいことだ。それよりもオマエは目覚めなければいけない。オマエが目覚めることが、この世界にとってとても重要な事なのだ」
声のする方向は頭の上の方からだった。それはさっきの人面巨石の方からだ。きっとあの人面巨石がオレに語りかけてきているに違いない。
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