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「分かったよ。じゃあ二人ともユックリ休んでね」僕は二人に声をかけた。でも、二人は僕に返事をすることは無かった。もう二人ともすっかり眠り込んでいるみたいで、ふたりの可愛らしい寝息が静かな岩場の空洞に響いて聞こえてきた。
「ふたりとも、態度には見せなかったけれどよっぽど疲れていたんだね」
僕は背負っていた便器を地面に下ろして、二人の正面の壁に背中をつけて地面に座った。あらためて二人のズルンズを見てみると、二人の体はとても小柄でか細くか弱く見えた。もしかしたら三人のうちで一番体力があるのは自分なのかも知れないと、そんな風に思った。
「僕はふたりに出会ってから助けて貰ってばかりだ。こんな時くらい、二人のために出来ることをしよう」
そう思って立ち上がった僕だった。しかしその時、僕のお腹が鳴った。
グギュル~
これは空腹で鳴ったお腹の音で無かった。さっきサボテンジュースを飲み過ぎたせいに違いない。差し込むような突然の腹痛に襲われて、僕はまた座り込んでしまった。
「うう、さっきサボテンジュースを飲み過ぎたかな。これは空腹のせいじゃないような気がする。そう言えば僕はこの世界に来てから何も食べていないような気がする。食べたような気がするけれど食べていないような気がする。え~と、とにかく僕は空きっ腹にサボテンジュースをがぶ飲みしたせいでお腹が痛いに違いないんだ」
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