砂漠の続き

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 僕は一歩一歩、慎重に歩いてエメドラちゃん達が眠っている岩の反対側に回り込んでいった。真っ正面から照りつける太陽が、僕のからだに真っ直ぐに降り注ぐ。僕はまぶしくて目を閉じた。そしてようやく反対側にたどり着くと便器を地面に置いて辺りを見回した。何処を見回しても代わり映えの無い砂漠が広がるばかりで人一人いなかった。 「よし、誰もいないな。こんな広いところで大便をするのはちょっと恥ずかしいけれど、でもちゃんと便器もあることだし、変なことじゃないよね」  僕は便器に用を足そうと便器の蓋に手をかけた。思えば僕がずっと便器を背負って歩いていたのは、きっとこの様なときのためだったのかも知れない。いくら自然いっぱいの世界だったとしても、文明人としての人間の尊厳は維持されなければいけないのだ。その証がこのトイレなのに違いない。僕のきっと、文化的に高い位に位置するズルンズなのに違いないんだ。そうだ、そうに違いない。あ、でもエメドラちゃんもブラカスちゃんも自分の便器を持っていないじゃないか。だったら二人は用を足すときどうしていたんだろう。ズルンズはあまり用を足す必要が無いのかな? でも、やっぱりいざという時に困ってしまうに違いない。何しろ女の子だもの。そうだ、二人は寝起きでおトイレに行きたくなったときに、僕がさりげなくこの便器を貸してあげよう。二人みたいに可愛くて愛らしい人に、便器も使わずに野蛮に用を足させるなんて、そんなの紳士としては見過ごせないじゃ     
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