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「あなたの事が好きです。」
初めて会った子に告白された。ある陽だまりの中その子はとびきりの笑顔できらきらと輝いて見えた。俺は驚くだけだったがその子は真っ直ぐに俺を見て
「付き合って下さい。」
俺は恋愛は苦手でいつも断っていた。
「わりぃ。俺そういうの。」
苦手なんだ。と断ろうとした時
「1週間だけ。お願いします。」
「えっ?」
一瞬頭の中が混乱する。
「ああ…。」
一直線に俺の目を見ながら
「ありがとうございます!」
「あっ。ああ…。」
断りそびれた…。まぁ1週間だし…。
放課後帰っていると後ろから走って来る音がした。
その子は俺の横で止まって微笑みかけて来た。勿論引きつり笑いの俺。家の前まで来ると
「楽しかったです!ありがとうございます!」
次の日の朝家を出ると笑顔で俺を見た。
「おはようございます!」
「おはよう。」
「なんで俺なの?」
「かっこいいです!ずっと憧れていました。」
「これお 弁当です。」
「えっ?俺に?」
「はい!」
「ありがとう。」
俺には母親が居ない。弁当なんか初めてだ。俺は昼になるのが凄く長く感じた。
チャイムと同時に弁当を取り出し蓋を開けた?めっちゃくちゃ美味い!一気に食べ終えた。俺は弁当箱を包み直し大切に袋に入れた。
放課後、又後ろから必死で走って来る音が聞こえて来た。あの子だ。
すぐに俺の横に来て、
「あの…。」
モジモジしている。俺は微笑んで、
「美味しかった。ご馳走さま。」
と言って弁当の袋を手渡した。女の子の顔がみるみる上昇していくのが分かった。
「良かったぁ~!明日も作って来てもいいですか?」
「俺は嬉しいけど、大変だろ?」
「全然嬉しいです。」
笑顔で言う。そしてやっぱり家の前で
「又明日もお願いします。」
と、言って走り去って行った。
次の日も次の日も毎朝笑顔で弁当を差し出し、帰りに笑顔で空の弁当箱を持って帰った。
俺はだんだんとその子に惹かれていた。
今日で1週間。いつものように後ろから走って来て俺から空の弁当箱を受け取った。そして彼女は笑顔で
「1週間本当にありがとうございました。凄く素敵な時間でした。」
と、ペコリとお辞儀をした。
次に彼女が顔を上げた瞬間もう彼女からキラキラの笑顔は無く、クシャクシャになりながらボロボロと流す涙だけが見えた。
その瞬間、俺は彼女の手を引っ張って抱き寄せていた。
「ごめん…。ずっと俺の側で笑っていて欲しい。」
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