第2話

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第2話

「ふう~」  やっとの思いで目的の四階に辿り着く。  狭くて薄暗い廊下には何も置かれておらず、生活感が全くない。小さな窓から差し込む薄陽が、漂う空気のほこりっぽさを際立たせている。そのせいなのか、まるで廃墟のように感じられた。  得体の知れない不安に苛まれながらも乱れた息を整えつつ、沙希はその階に二つの会社が入居しているのを確認する。苦労の末にようやく辿り着いた四階の、二つの扉に表記された会社名を見ることで。  その中の一つが目的の場所だった。  目的の会社は見つけたものの『オフィス ドッグス』と表記された扉の前まできて、沙希は入るのを躊躇してしまった。  狭くて薄暗い廃墟のような廊下で一人佇みながら『本当にここでいいの?』と自問自答する。しかしその答えを見つけられないまま、茫然として立ち尽くしていた。  昨日行ったハローワーク神戸の紹介状と履歴書を持ってきている。
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