とある雑誌

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就職活動の結果、幸いにも小さな出版社に就職できた。  しかも最初に任された仕事は新しいグルメ本に掲載する飲食店の取材という願ってもない仕事だった。 「3か月の期間で都内にある飲食店をとことん取材してきてくれ。すでにテレビやネットで紹介しているお店は行かなくて良い。では、よろしく頼むぞ。」  上司に促され、裕也は気合が入った。 「はい、とことん取材してきます。」 「評価は5段階評価で行うように。それと重要なことはお世辞のようなものは一切いらない。正直なレビューを持って帰ってくるように。そのためには潰れそうなお店も排除せず、取材をしてきてくれ。」  雑誌に掲載する店が潰れてしまいそうなお店であって良いものなのか。とは思ったが、きっと今までどこにも取材されたことのない隠れた名店もあるのだろうと俄然気合が入った。  裕也は一生懸命自分のセンスを信じ、上司に言われた通り、情報が出回っていないお店を探し、高級店、庶民派の店、和食、中華、イタリアンなどあらゆるジャンルのお店を取材して回った。  取材をしたお店の感想は正直に記録を取った。  おいしかったお店では、盛り付けや味付けといった情報を事細かに記録して、雑誌に掲載しても恥ずかしくないよう特徴を書き留めた。  まずいと思ったお店についても言われた通り5段階評価で評価をし、まずいと感じたポイントや他のお店と比べ劣っている特徴を記録した。
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