とある雑誌

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こうして裕也の3か月間にわたる初仕事を終え、事務所へと戻った。 「世の中に情報が出回っていない飲食店を探し、取材を行ってまいりました。」 「ご苦労だった。言った通り、正直な感想を持ち帰ってきたか?」 「はいもちろんです。言葉では語り切れないほど素晴らしい飲食店がたくさんありました。」 「そうか、では持ち帰った情報を編集チームに渡しておいてくれ。」  裕也は自分が取材してきた自慢の飲食店特集が世の中に出ることを想像すると楽しい気分になった。  取材をした中でも、特に夫婦が二人で切り盛りする隠れ家的な小料理屋に感動を覚えた。路地の奥まった場所にあり、カウンターに8席ほどしかない小さなお店だが、出される料理はどれも美味しく、人情味あふれる店の雰囲気は抜群だった。そこは最高評価の5をつけていたので、どのような形で記事になるだろうかと編集チームの仕上がりを待った。
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