とある雑誌

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 数週間後、編集チームから飲食店特集の原稿が上がってきた。  ワクワクしながら原稿を見ると裕也は驚いた。  そこには、自分が最低評価の1をつけた飲食店ばかりが紹介され、記事も「マズい」だの、「油がギトギト」だのひどい表現がそのまま記事になっていた。  裕也の横にいた上司が言った。 「おいしい店は今の時代あっという間に拡散されるが、まずい店はなかなか世に出回ることはない。毎日うまいものを食し続け、飽きがきたセレブの中にはこういう情報を望んでいる人もいるのさ。君の取材はどれも新鮮な情報だったよ。ご苦労だった。」  その時はじめて、裕也は潰れそうな店まで綿密に取材させられた謎がとけたのであった。
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