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Vの研究
研究室に入ってきたノアは、手にクッキーと紅茶の乗ったおぼんを持っていた。
いつもならVが飲むのは本人曰くコーヒーの「カルピス」だが、Vが大量消費しすぎて在庫がなくなり紅茶を持ち出してきたのだ。
「な~んの用かなぁ~。」
机から顔も上げず、奇妙なリズムをつけてVが言った。
「紅茶とクッキーをお持ちしました。それより、その奇妙なリズムはなんですか?」
「今回の研究だよ。今回は、リズムについて研究してるんだ。」
「リズム?」
「そのとーーーーーり!」
Vが叫んだ。
いま彼の頭の中で「てってれー!」とひらがなの効果音が流れているのが、ノアにはこれでもかというほどよくわかる。
「リズムの研究って、いったい何なんですか?」
そういわれたVは、
「ふっふっふ……。」
と知らない人が見たら不審者通報しそうな怪しい笑いをうかべた。
「よくぞ聞いてくれた。」
いまどき誰も言わないようなせりふを口にするV。
「そんなに聞きたければ教えてあげよう!」
「いえ、助手として博士がアブない実験をしていないか気になるだけです。というか、できれば聞きたくありません。別に教えてもらえなくてもいいです。」
心の中でそうつぶやいたものの、優しいノアは、今のイッチャッテルVにそんなことを言えない。
もし言ったらどうなるか、想像するだけで震えがとまらなくなる。
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