こだわりの条件

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 若干の好奇心を抱きながら人影が見えた路地へ行ってみることにした。この道が一体どこに通じているのか見当もつかなかった。その路地は特に商店が出ているわけでもなく、人がやっとすれ違えるくらいの幅しかない道だった。まっすぐの道をひたすら歩いていくと少し開けた広場に出た。そこはすでに薄暗かったはずの空間が嘘のように光が差し込む世界が広がっていた。  そこはユウイチがもちろん初めて見る景色だった。日本の景色では到底説明ができないような光景が広がっている。まるでユウイチが住む世界と昼夜が逆転しているような感覚になるくらい明るかった。  クネクネとした建物が立ち並び、壁に取り付けられた数字が規則的に並べられた時計らしきものには5本の針がぐるぐると回っている。辺り一面は原色を中心とした色遣いで彩られた世界だった。
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