こだわりの条件

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こだわりの条件

 その日もユウイチは、いつものように会社帰りに駅から家までの通り道である商店街を通って帰る途中だった。一人暮らしの彼は商店街で適当な総菜を買って家で晩酌するのが日課だった。「今日は何を食べようか。」といろいろと頭の中で想像を膨らませながら歩いていると、商店街の細い路地に人影が消えてゆくのが見えた。 「はて、こんな所に道があっただろうか。」  毎日のように通っている商店街であったが、その道は全く見覚えがなかった。銀行と八百屋が並んでいたことは覚えているが、そこは隣り合っていたはずである。二つの店の間に急に道ができたような感覚だった。
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