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転 いいことが返ってくる
「ただいま。」
フミはおそるおそる家に入った。
(もし「なんなの、この猫!」って言われたらどうしよう……。)
しかし、その心配は無用だった。
顔をだしたお母さんは、
「もう、おそいわよ。寄り道しないでっていつも言ってるのに。さ、早く宿題やっちゃいなさい。」
としか言わなかったからだ。
(やった!ほんとにこの子、私以外の人には見えないんだ!)
フミのほうもこの可愛い猫がそれなりに気に入っていたので、飼ったらだめだと言われたら……と考えるとかなり辛いものがあった。
そのためすっかりうれしくなったフミは、元気な声で
「うん!」
と返事をして部屋に戻った。
「すごいね、ほんとに私にしか見えないんだ。」
フミは自分の部屋で、優しくお返し猫の頭をなでながら言った。
お返し猫はうれしそうにのどを鳴らす。
「そうだ!まだ、あなたの名前決めてなかったね。どんな名前がいい?」
フミが聞くと、お返し猫は首をかしげてまたのどを鳴らした。
「そうだ!お返し猫で飼い主の名前がフミだから、おかふっていうのは?」
おかえしねこの「おか」とフミの「ふ」をつなげたのだが、お返し猫は露骨にいやそうな顔をしてそっぽをむいた。
「だめ?じゃあ、どうしよう?」
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