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起 不思議なお誘い
「バイバイ。」
友達のナオと別れたフミは、小さくため息をついた。
小学六年生のフミは、とても優しい女の子だ。
今までにもいいことをたくさんしてきた。
でも、それが返ってきたことは一度もない。
別にお礼目当てで周りに優しくしているわけではないのでとくに気にならないのだが、今回ばかりはさすがに気がめいった。
友達のイチコがクラスメイトのナオをいじめているのを発見して先生に報告したところ、イチコをえこひいきしている先生は
「イチコ君がいじめをするわけないだろう。イチコ君になんのうらみがあってそんなデマをいうのか知らないが、うそをつくのはやめなさい。」
と怒られ、イチコは
「チクるとか、ひどいんだけど。もう友達やめるから。」
と宣言したのだ。
おまけにイチコはクラスのリーダー格。
たちまち、フミはクラス中から無視されるようになった。
フミと仲良くしてくれるのは、クラスからの無視を覚悟でいじめを先生に伝えたフミに恩を感じているナオだけ。
フミはまた大きなため息をついた。
「やだな……こんなことになるんなら、もう、いいことするのやめようかな……。」
思わずそうつぶやいたときだ。
「イラッシャイ、イラッシャイ。ピーチクパーチク。」
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