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鈴木と美代子は紅葉を迎えた箱根の宿にいた。
鈴木「美代子さん…忙しいのに箱根へ付き合ってくれてありがとう。 どうしても美代子さんと綺麗な紅葉が見たかったんよ。」
箱根の温泉街を…手を引いて歩く鈴木に連れられて、美代子は少し顔を赤らめながら付いて行った。
宿に着くと二人は紅葉の美しい…庭の見える部屋に通された。
宿の仲居はお食事はお部屋にお運びしますね…と言った。
部屋から眺める紅葉はとても綺麗で、鈴木からは美代子と紅葉が同時に見えて…いつまでも飽きない風景だった。
美代子「私ね…こんな人生だったでしょう…。
まさか…こんなにゆったりした時間を過ごせるとは思いもしなかったの。
鈴木さん…本当にありがとうございます。」
二人は運ばれたお膳に箸を運びながら…
昔の事… 最近の事… いろいろ思いながらも多くは語らない…気の許せる間柄になっていて、
その事がお互い有難い良い関係になっていた。
お風呂も男湯、女湯と分かれながら…お風呂場から出るのは申し合わせたように同時だった。
その事だけでも二人は気が合う関係に思えた。
お風呂場から部屋に帰るとお布団が並べて引かれていて…なんだか二人照れてしまった。
美代子はお布団に入ると鈴木の顔を恥ずかしくて見れなかった。
「美代子さん…寝た?」
「ううん…いろいろ思い出していたの…。
若くして結婚した時のこと…
主人を事故で亡くして…
親戚から猛烈に次の縁談を勧められたり…
その為に子供と引き離されたり…。」
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