第9章 18年前…

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 鈴木と美代子は紅葉を迎えた箱根の宿にいた。 鈴木「美代子さん…忙しいのに箱根へ付き合ってくれてありがとう。 どうしても美代子さんと綺麗な紅葉が見たかったんよ。」 箱根の温泉街を…手を引いて歩く鈴木に連れられて、美代子は少し顔を赤らめながら付いて行った。 宿に着くと二人は紅葉の美しい…庭の見える部屋に通された。 宿の仲居はお食事はお部屋にお運びしますね…と言った。 部屋から眺める紅葉はとても綺麗で、鈴木からは美代子と紅葉が同時に見えて…いつまでも飽きない風景だった。 美代子「私ね…こんな人生だったでしょう…。 まさか…こんなにゆったりした時間を過ごせるとは思いもしなかったの。 鈴木さん…本当にありがとうございます。」 二人は運ばれたお膳に箸を運びながら… 昔の事… 最近の事… いろいろ思いながらも多くは語らない…気の許せる間柄になっていて、 その事がお互い有難い良い関係になっていた。 お風呂も男湯、女湯と分かれながら…お風呂場から出るのは申し合わせたように同時だった。 その事だけでも二人は気が合う関係に思えた。 お風呂場から部屋に帰るとお布団が並べて引かれていて…なんだか二人照れてしまった。 美代子はお布団に入ると鈴木の顔を恥ずかしくて見れなかった。 「美代子さん…寝た?」 「ううん…いろいろ思い出していたの…。 若くして結婚した時のこと… 主人を事故で亡くして… 親戚から猛烈に次の縁談を勧められたり… その為に子供と引き離されたり…。」
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