10人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
美代子は、先の縁談話も破談になった訳だし…子供達を早く迎えに行かなきゃ…と焦っていた。
「叔母さん、桃子と啓介は元気にしていますか…すみません、預けっぱなしで…。」
「美代子さん…ゴメン、早く言わないといけないと思ってたんだけど…
実は昨日の夕方から急に居なくなっちゃったんだよ、二人一緒だと思うんだけどね。
思えば…お母さんの所へ行きたい…って最近よく言っててね。」
「ああ…そうなんですね。 迎えに来るのが遅かったんですね。
それで二人は私を訪ねて行くと…何か当てがあったんでしょうか? 私の住所とか… 」
「いや…居なくなる直前に うちの子達と言い合いになって感情的になったみたいで…
きっと当ては無かったんだと思うんだよ。
警察には届けたんだけどね。」
美代子[良い人に保護されてると良いんだけどなあ]
3ヶ月くらいは全く姉弟の手掛かりは無かった。
ある日電話があって、
「たぶんお宅のお子さんの姉弟だと思うんだけど…もうすっかりウチに慣れちゃって…
私も随分情が移っちゃったんです。
どうですかね?
桃子ちゃんと啓介君をウチに戴けませんか? ウチは子供が無くてね…。」
[そんな…犬猫じゃあるまいし…人の子をくれとか…やるとか…当の子供達本人はどうなんだろう?]
「ウチの子供達が迷っている所をすみません。 有り難うございます。
それで…あの…当の子供達は何と言ってるんですか?」
「まだ言ってません。
今ならお母さんが良いのは当たり前です。
そこでお願いしてるんです。
うちは会社を経営してて寝食には困りません。
二人に贅沢だってさせてやれます。
私達夫婦に桃子ちゃんと啓介君をください!
お願いします。」
最初のコメントを投稿しよう!