第9章 18年前…

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 美代子は、先の縁談話も破談になった訳だし…子供達を早く迎えに行かなきゃ…と焦っていた。  「叔母さん、桃子と啓介は元気にしていますか…すみません、預けっぱなしで…。」  「美代子さん…ゴメン、早く言わないといけないと思ってたんだけど… 実は昨日の夕方から急に居なくなっちゃったんだよ、二人一緒だと思うんだけどね。  思えば…お母さんの所へ行きたい…って最近よく言っててね。」  「ああ…そうなんですね。 迎えに来るのが遅かったんですね。  それで二人は私を訪ねて行くと…何か当てがあったんでしょうか? 私の住所とか… 」  「いや…居なくなる直前に うちの子達と言い合いになって感情的になったみたいで… きっと当ては無かったんだと思うんだよ。  警察には届けたんだけどね。」 美代子[良い人に保護されてると良いんだけどなあ] 3ヶ月くらいは全く姉弟の手掛かりは無かった。 ある日電話があって、 「たぶんお宅のお子さんの姉弟だと思うんだけど…もうすっかりウチに慣れちゃって… 私も随分情が移っちゃったんです。  どうですかね?  桃子ちゃんと啓介君をウチに戴けませんか? ウチは子供が無くてね…。」 [そんな…犬猫じゃあるまいし…人の子をくれとか…やるとか…当の子供達本人はどうなんだろう?]  「ウチの子供達が迷っている所をすみません。 有り難うございます。  それで…あの…当の子供達は何と言ってるんですか?」  「まだ言ってません。  今ならお母さんが良いのは当たり前です。  そこでお願いしてるんです。   うちは会社を経営してて寝食には困りません。  二人に贅沢だってさせてやれます。   私達夫婦に桃子ちゃんと啓介君をください! お願いします。」
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