第35話(2)

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 注ぎ込まれる精の生々しい感触に、鷹津の腕の中で和彦は身悶える。精を噴き上げないまま、軽い絶頂に達していた。  繋がりを解かないまま、二人は呼吸が落ち着くのを待つ。合間に唇を触れ合わせ、淫らな言葉を囁き合い、体内で吹き荒れる情欲が少しでも冷めないよう努める。もっとも、無駄な努力なのかもしれない。汗に濡れた体を擦りつけ合っているだけで信じられないほど気持ちがいいし、淫らで感じやすい部分が物欲しげにひくついている。  鷹津の欲望が、瞬く間に内奥で逞しさを取り戻していく感触に、和彦は吐息をこぼす。誘われたように鷹津が唇を重ねてきた。熱い舌に口腔を隈なく舐め回され、心地よさに体が震える。 「――……ようやく、お前は俺のオンナになったんだと実感できた」  絡めていた舌を解いたところで鷹津が呟き、欲情でギラギラとした目で和彦を見つめてくる。 「欲しいときにお前を抱いて、思う存分鳴かせて、イかせて……。俺の、可愛くていやらしいオンナだ」 「……バカだ、あんた。そんなことのために、どれだけ危険なことをしたのか……」 「お前には言われたくねーな。危険だとわかっていて、引き返すチャンスもあったのに、結局、とんでもない状況に自分から陥った。……俺が最初に、お前を助けてやると言ったとき、素直に頷いてりゃよかったんだ」     
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