8607人が本棚に入れています
本棚に追加
/1332ページ
鷹津と知り合ったばかりの頃のやり取りを思い返し、つい和彦の口元に笑みが浮かぶ。
「あんた、ヤクザより胡散臭かっただろ。下品だし、無礼だし、本当に嫌な男だった。今も、だけど」
「でも、お前と体の相性は抜群にいい。本当はわかってるだろ。気も合っていると。お前には、俺みたいな男がぴったりなんだ」
いつになく情熱的な言葉を鷹津から囁かれ、忍び寄ってくる不安や恐怖の足音も一緒に聞いてしまいそうだ。和彦は思わず顔を背けていたが、露わになった首筋をベロリと舐められてから、軽く歯が立てられた。感じたのは痛みではなく、狂おしい疼きだ。
鷹津にしっかりと腰を抱き寄せられ、緩やかに揺さぶられる。和彦も自ら腰を揺らし、熱くなっている欲望を鷹津の下腹部にすり寄せた。すると鷹津が低く笑い声を洩らし、和彦の欲望の根元に指先を這わせてきた。
「これ、くすぐったいな」
なんのことを言っているのか、快感で鈍くなった頭で理解したとき、和彦は激しくうろたえる。鷹津の指は優しく、和彦の下腹部のわずかな陰りを梳いている。
「あっ、嫌、だ……。そこ、触るな……」
「お前でも恥ずかしいか?」
肯定の返事のつもりで、鷹津の背を殴りつける。和彦の反応に鷹津はますます気をよくしたのか、耳元で熱っぽい口調で続けた。
最初のコメントを投稿しよう!