第35話(2)

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 鷹津と知り合ったばかりの頃のやり取りを思い返し、つい和彦の口元に笑みが浮かぶ。 「あんた、ヤクザより胡散臭かっただろ。下品だし、無礼だし、本当に嫌な男だった。今も、だけど」 「でも、お前と体の相性は抜群にいい。本当はわかってるだろ。気も合っていると。お前には、俺みたいな男がぴったりなんだ」  いつになく情熱的な言葉を鷹津から囁かれ、忍び寄ってくる不安や恐怖の足音も一緒に聞いてしまいそうだ。和彦は思わず顔を背けていたが、露わになった首筋をベロリと舐められてから、軽く歯が立てられた。感じたのは痛みではなく、狂おしい疼きだ。  鷹津にしっかりと腰を抱き寄せられ、緩やかに揺さぶられる。和彦も自ら腰を揺らし、熱くなっている欲望を鷹津の下腹部にすり寄せた。すると鷹津が低く笑い声を洩らし、和彦の欲望の根元に指先を這わせてきた。 「これ、くすぐったいな」  なんのことを言っているのか、快感で鈍くなった頭で理解したとき、和彦は激しくうろたえる。鷹津の指は優しく、和彦の下腹部のわずかな陰りを梳いている。 「あっ、嫌、だ……。そこ、触るな……」 「お前でも恥ずかしいか?」  肯定の返事のつもりで、鷹津の背を殴りつける。和彦の反応に鷹津はますます気をよくしたのか、耳元で熱っぽい口調で続けた。     
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