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「まあ、オンナの扱いなら慣れているか。あいつなら」
『あいつ』とはもちろん、御堂のことだろう。しかし南郷の口調には嘲りのような響きがあり、それが気に障る。もしかすると南郷なりの、和彦への当て擦りなのかもしれない。
だから、南郷と会話をするのは苦手なのだ。無駄に神経を尖らせて、疲れてしまう。
和彦は聞こえよがしにため息をつくと、スッと視線を外へと向ける。こちらとしては会話を打ち切ったつもりなのだが、南郷には通じなかったようだ。何事もなかったように話しかけられる。
「そういえば先生、清道会会長の祝いの席で、いろんな人間に引き合わされただろう。顔と肩書きを少しは覚えられたか?」
「……どうでしょう」
「覚えておいて損はない。今後、どんな形であれ、総和会と関わってくるかもしれないからな」
その物言いが気になり、反射的にシート上で身じろぐ。さきほどは和彦のため息を無視したくせに、南郷は気配に敏感だった。シート越しに一瞥され、和彦は思わず問いかける。
「南郷さんはもしかして、知っているんですか?」
「何をだ」
「祝いの席に、誰が出席していたのか」
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