第37話(1)

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 賢吾と舌先が触れ合い、絡め合おうとしたが、飴玉が障害となる。すると賢吾の指が口腔に突っ込まれ、あっさり飴玉を掬い取られる。唾液塗れの飴玉の行き先は――。 「あっ、またっ――」  内奥に新たな飴玉を押し込まれたところに、再び高ぶった賢吾の欲望がわずかに挿入される。和彦は震えを帯びた息を吐き出した。 「……ダメ、だ。飴玉が……、怖いから」 「言ったろ。奥に入っても、溶けると。それにあとで、風呂の中で掻き出してもやる。少しずつ湯を入れて、ゆっくりと溶かしながら。そこまで含めて、浮気に対する仕置きだ」  背からゾクゾクするような疼きが這い上がり、賢吾に唇を吸われて吐息をこぼす。 「いい顔だ。……安心しろ。優しくしてやる。大事で可愛いオンナを、何があっても痛めつけるわけがねーだろ」  そう言いながら賢吾の手が、紐で縛められている欲望にかかる。 「こうされるのだって、本当は嫌っちゃいないはずだ」 「そんなわけ、ない――……。本当に、つらいんだ」 「そうか、つらいか」  欲望の先端を爪の先で弄られて息が弾む。その瞬間を見逃さず、賢吾がゆっくりと腰を進める。最初は意地を張っていた和彦だが、すぐに賢吾の肩にすがりつき、両腕を広い背に回す。てのひらに馴染んだ肌の感触に、官能の泉が一気に湧き出す。 「うっ、ううっ――。はあっ、はあっ、あっ、あぁっ……」     
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