第40話(4)

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 突然呼びかけられて、和彦は姿勢を正す。メモを片手にスタッフが傍らに立っていた。 「どうかした?」 「十二月三日の午前中に予約を入れられている患者さんから、さきほど連絡があったのですが……」  和彦はすぐにパソコンを操作し、言われた日付の予約状況を確認する。確かに予約が入っており、先日カウンセリングを行った患者の名が表示されている。 「まさか、キャンセル?」 「いえ、そうではないんです。予約の日は都合が悪くなったそうで、できればもう少し早い日に変更できないかとおっしゃられて。佐伯先生はまだ診察中だったので、折り返し連絡を差し上げるとお伝えしました」 「あー、そうだね。施術の予約だから、空いているところにポンッと入れるわけにもいかないし」  和彦は、患者のカウンセリング表と予約状況を交互に眺めて検討し、メモにいくつかの日付と時間を書き込む。そのメモをスタッフに渡した。 「そこに書いた日付と時間を患者さんに伝えて、希望に合うものを選んでもらうようにして。難しいようなら、一度予約をキャンセルして、改めて予約を入れ直すことになるかなあ」 「そうですね。とにかく今から連絡して、確認してみます」     
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