第40話(4)

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「しっかり話し合ったらどうだ。二十歳そこそこの子を巻き込む前に」 『子、ではないでしょう。彼は立派な男ですよ。ケンカのやり方を知っている、ね。……ただ、中嶋のほうが性質が悪いかもしれません』  ほろ苦さを感じさせる口調の秦に対して、さすがに和彦も追い打ちをかけることはできなかった。  自業自得というなら、中嶋も同じだ。昨夜、帰りのタクシーの中で中嶋から話を聞いたが、なんとなくだが、秦が大人げない行動に出た原因がわかった気がしたのだ。  海外出張から秦が帰国する日、出迎えに行くと自ら言い出した中嶋は、直前になってその発言を取り消すことになったそうだ。その理由が、加藤だった。  第二遊撃隊の方針として部屋を借りることになり、中嶋が物件探しなどを手伝ったのだという。そして、秦の帰国と加藤の引っ越しが重なり、中嶋は合理的な理由から、加藤を優先したそうだ。妙なところで世間知らずな男なので、危なっかしくて放っておけなかったし、世話を任された自分の責任もあると、中嶋は話していたが――。     
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