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再び俊哉と会うことを、賢吾には報告したものの、誰にも知らせないよう頼んでおいた。前回の和彦の憔悴ぶりを知る男たちに、心配をかけたくなかったのだ。当然、その中に千尋は入っていた。しかし――。
和彦が顔をしかめると、苛立ったように千尋が唇を歪める。
「厄介な奴にバレたって顔してる」
「当たり前だ。……お前の父親には口止めしておいたのに」
「俺は、和彦の口から聞きたかったよっ」
千尋ならそう言うだろうと容易に想像がついた。だから、知られたくなかったのだ。
「この間はお前にもずいぶん心配をかけて、気を使わせたから、また父さんに会うと言ったら大騒ぎするんじゃないかと思ったんだ」
「なんだよ、それ……。俺が心配するのも、気を使うのも、当然だろ? もしかして、迷惑って――」
「違うっ。……これは、佐伯家の問題だから、巻き込みたくないんだ。お前たち父子と、長嶺組を」
「俺たちなんて、長嶺家の問題に和彦を巻き込みまくっているけど。気になるなら、お互い様って考えたらいいじゃん。それに、今回はオヤジには言ったんだろ。……オヤジだけは巻き込んでも大丈夫って判断したんなら、悔しい。いつも俺だけガキ扱いされて、問題が起きたら報告は後回しにされることも」
この場合、なんと声をかけるのが正しいのか。逡巡した挙げ句に和彦は、すまない、と小さく謝罪する。
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