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第38話(2)
クリニックが休みの土日は、和彦の体が空くのを待ちかねていたように、一気に予定が埋まる。一応、伺いを立てられはするが、和彦個人に予定があることは滅多にないため、都合が悪いとも言えない。口ごもっているうちに、押し切られてしまうという感じだ。
もう少し要領よくならなければいけないという自省は、これまでに何度も繰り返してきたが、自分でも進歩しているとはまったく思っていなかった。
男たちの事情に振り回されるという点では、ある意味、和彦にとっての日常が完全に戻ったともいえるだろうが、あまりに前向きすぎる考えかもしれない。
テーブルについているのが自分一人となり、軽くため息をついた和彦はすっかり凝った自分の肩を揉む。イスの背もたれに体を預けようとしたところで、背後から声をかけられた。
「お疲れ様でした、佐伯先生」
和彦は反射的に姿勢を戻して、おそるおそる振り返る。にこやかな表情の藤倉が立っていた。気配すら感じられなかったため、同じ部屋にいることをすっかり忘れていた。
速やかに和彦の側に歩み寄ってきた藤倉が、テーブルの上に広げられた書類をまとめ始める。
「初の顔合わせはいかがでしたか?」
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