第3話 僕とカレー《真実編》

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   *  そして、迎えた今日。2016年2月7日。放課後、僕たちはぼちぼちと掃除をこなしながら教室の隅で談笑していた。 「バシュッ、バァン!って」  梅沢が顔面にボールが当たった僕の真似をして笑う。一限目が終わってからずっとネタにされ、周りにも笑われるし、僕は恥ずかしくてたまらなかった。その真似がまたリアルで上手いから余計に腹が立つ。耐えかねて僕は梅沢を制止しつつ声を荒げた。 「もういいって!」 「だって面白いんだもん。試合出てないのに顔面って……」  梅沢は吹き出してまた笑い転げた。竹本は無表情でその様子を見ているが、微かに口角がぴくぴくしているのがわかる。 「誰かゴミ捨て行ってきてー」  クラスの女子の大声が聞こえ、それに(かこつ)けて僕は「俺が行く」とゴミ袋を手に教室を出る。 「あ、広すねんなよ」  梅沢が背後から言ってきたが、無視して廊下を大股で歩いた。二年生の教室階の廊下を抜けて、端にある階段を下りる。ふと痛みが蘇ってきて、打ち消すように額をさすった。
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