最終話 僕に救いをくれる人たち

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「先生の顔面キックです」 「ええ!?」  瀬古先生は誰よりも大音量で驚きの声を上げた。おおげさに狼狽える姿が、申し訳ないけれど面白い。笑うまいとしていたけれど梅沢が大爆笑しているのにつられて、こらえきれずに少しにやついてしまった。 「ごめん! あれは事故だったのよ」  必死に謝る瀬古先生を前に、僕は「大丈夫です」と言って快く許した。 「じゃっ、帰りますか」  竹本が入口に向かって歩きながら僕らを促す。梅沢は「おう!」と言って、その後に続き、僕もベッドから降りて身支度を整え、二人の後を追った。そして、後ろにいた三田君に呼び掛ける。 「三田君も、一緒に行く?」  三田君は呼ばれると、笑顔で「はい!」と答えた。その時見せた快活そうな笑顔が、なんだか彼に似ているような気がした。
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