第2話 カレーと僕《過去編》

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第2話 カレーと僕《過去編》

 僕は昔から臆病者だった。自分から話しかけて友達を作ったことが生涯一度もないし、話しかけて失敗するくらいなら一人でいることを選ぶ。そんな内向的な性格だったから、中学校に入った頃は友達がいなかった。周りがどんどんグループを確立していく中で、僕はどこの輪に入ることもできず、当たり前のように一人になった。こうなってくると、暗い奴なんだと周りに認識され、誰も話しかけようとはしてくれなくなった。休み時間はいつも机に突っ伏して眠っていたし、体育のキャッチボールは残り者になった。  そんな僕とは比べ物にならないくらいだったのは同じクラスの富田(とみた)だった。彼は明るくてクラスの人気者。スポーツ万能で、誰にでも偏見なく接してくれるとても心の広い奴だった。体育の時も余り者の僕といつもペアを組んでくれて、嫌な顔ひとつせずにキャッチボールをしてくれた。授業以外では話すことはなかったけれど、そんな彼の優しさに僕は救われていたし、秘かに憧れてもいた。  そんなある日の昼休み、僕が一人で弁当を食べようとしていたところに富田が声を掛けてくれたことがあった。
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