「秋の始まり」

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「秋の始まり」

厳しい暑さもだんだん 和らいできた。 ちらほらと羽織りを着ている 人も増えてきて、 僕もその中の1人だ。 新しい学校生活にも慣れてきて それなりに友達もできて 普通に、そう普通に過ごしてる。 そろそろバイトも始めて みようかな、なんて 思ってるし。 帰りにでも求人誌を見て 決めようかな、 そんなことを考えている内に 電車が来た。 そして、今日も君は反対側の ホームに居てヘッドホンを 付けてる。 そんな彼女を横目に僕は 電車に乗った。 何駅か過ぎると同じ高校の 生徒が増えてくる。 実は今通ってる学校は 家から遠い。 家の近くに何校かあるが、 僕は今の学校を選んだ。 「おっす~」 そんな陽気な声がして 振り向くと、 満面の笑みで近づいてきた。 「なんだ、啓太か」 僕は少し笑って答える。 「なんだってなんだよー 朝から俺に会えて嬉しいだろー!」 「ほぼ毎日会ってるのに 嬉しいもなにもないだろ。 しかも、朝から煩い」 僕は少し迷惑そうな顔で言う。 「はいはい、お前は冷たい 奴でしたね。 そうでしたー」 啓太は泣き真似をしながら 僕に訴えてくる。 あぁ、こうなったらめんどくさい。 僕はなにも答えず、本に視線を戻す。 横からまだ何かごちゃごちゃ 言っているが気にしない。 というより、気にしだしたら キリがない。 しかし、学校に着くまでこの状況は 続いた。
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