1人が本棚に入れています
本棚に追加
「秋の始まり」
厳しい暑さもだんだん
和らいできた。
ちらほらと羽織りを着ている
人も増えてきて、
僕もその中の1人だ。
新しい学校生活にも慣れてきて
それなりに友達もできて
普通に、そう普通に過ごしてる。
そろそろバイトも始めて
みようかな、なんて
思ってるし。
帰りにでも求人誌を見て
決めようかな、
そんなことを考えている内に
電車が来た。
そして、今日も君は反対側の
ホームに居てヘッドホンを
付けてる。
そんな彼女を横目に僕は
電車に乗った。
何駅か過ぎると同じ高校の
生徒が増えてくる。
実は今通ってる学校は
家から遠い。
家の近くに何校かあるが、
僕は今の学校を選んだ。
「おっす~」
そんな陽気な声がして
振り向くと、
満面の笑みで近づいてきた。
「なんだ、啓太か」
僕は少し笑って答える。
「なんだってなんだよー
朝から俺に会えて嬉しいだろー!」
「ほぼ毎日会ってるのに
嬉しいもなにもないだろ。
しかも、朝から煩い」
僕は少し迷惑そうな顔で言う。
「はいはい、お前は冷たい
奴でしたね。
そうでしたー」
啓太は泣き真似をしながら
僕に訴えてくる。
あぁ、こうなったらめんどくさい。
僕はなにも答えず、本に視線を戻す。
横からまだ何かごちゃごちゃ
言っているが気にしない。
というより、気にしだしたら
キリがない。
しかし、学校に着くまでこの状況は
続いた。
最初のコメントを投稿しよう!