1人が本棚に入れています
本棚に追加
学校も終わり、それぞれが
部活に行ったりと
玄関口が騒がしい。
僕は部活には入っていない。
「さて、コンビニに寄って
求人誌でも見るか」
グランドから聞こえる
部活動の声に一瞬目をやって
僕は校門に向かった。
軽快な音で迎えてくれる
扉を潜り、
雑誌コーナーへ向かう。
そして、求人誌を1冊手に取り
ページをめくる。
学校付近にするか家の近くにするか
少し迷ったが、学校付近に
することにした。
思っていたより種類が多く
すぐには決められない、
そう思った僕は求人誌を
持ち帰ることにした。
帰りの駅はまだ帰宅ラッシュ前で
そこまで混んでいない。
求人誌を片手に電車に乗り込んだ。
駅を過ぎるごとに窓の外の景色が変わってく。
夕日が沈みだす風景がとても綺麗で、
僕はただずっと眺めていた。
気づけば降りる駅に着いていた。
僕は慌てて降りて、
そして、
反対側のホームを見る。
君の姿はない、
僕が帰る時間に君を見たことは
一度もない。
部活に入っているのか、
それともバイトをしてるのか
そんなことばかり考える。
話したことだって
ましてや目すら合ったことも
ないのに気持ち悪いよな。
自分でもそう思う。
これが一目惚れかって
聞かれたら、
恋ではないよ。
僕はすぐさまこう答えるだろう。
恋ではないんだ、
うん、多分、きっと
恋じゃない。
でも気になるんだ 。
話しかける勇気はまだ
ないけど、
何かきっかけがあればいいなって
気持ちは増すばかりだ。
その時がくるのかこないのか全く分からないけど
もしものために言葉を考えておこう。
ふとそう決めてホームを出る。
こんな夕方時でもここは相変わらず静かだ。
僕が通っている学校付近は
どちらかというと
栄えている方で、人通りも多い。
でも、この駅に着くと一変する。
閑散とした雰囲気だが
未だに商店街なんてものもあり、
地元民に特化した町だ。
僕はイヤホンを付けて
歩きだす。
耳から流れる音が僕とこの町を
唯一遮断してくれる、
そんな気がして。
最初のコメントを投稿しよう!