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「でもさぁ、ソイルちゃんに何が出来るのぉ?王妃の侍女ってだけじゃ、グロウ殿下の足引っ張るかもよ~。」
「ちょっ!ラリー!その言い草はないのでは!?」
イブラリーの失礼な言葉に、王子は慌てる。ウィンヅは「あぁ。」と納得したように頷く。
「…確かに人手が足りなくなるだろうからな…。何か特別なことができれば、尚のことよしだな。」
「ウィンヅまで…。」
王子は恐る恐るソイルの顔を見る。ソイルはイブラリーを、何か物言いたげに見つめていた。それは怒っているというより、「お前がそれを私に訊くのか?」と言っているようで、王子は不思議に思う。
ソイルの視線に気付いたイブラリーは、ソイルに向かってニコッと笑う。するとソイルは何かを諦めたように溜め息を一つ吐いた。そして片膝をつき、胸に片手を添えた。
「私は王妃殿下の侍女であり、王妃殿下専属の諜報員でありました。王子殿下のお手伝いを許された暁には、王子殿下専属の諜報員として、私は王子の目となり耳となり情報を集めて差し上げましょう。」
「…諜報員…。」「またなんか増えたぞ…。」
王子とウィンヅは項垂れる。サイレントも混乱しているようだ。イブラリーはそんな様子を楽しげに眺めていた。
「へぇ。諜報員なら、これから需要が高まるんじゃない?今が買い時だよ、グロウ殿下。」
「僭越ながら、インフォーメ閣下。私は商品ではございません。」
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