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どうしても我慢できないのは、星野君が恋人でもないのに、毎晩、私の夢の中に侵入してくることです。なんて図々しいんでしょう。
夢の中の彼は仕事中とは違って、妙になれなれしい態度を取ります。お店では私のことをきちんと名字に「さん」を付けて呼ぶのに、夢の中では、「菜々緒」と呼び捨てです。しょうがないので私も彼を名前で呼び捨てにします。
夢の中では場面はいつも厨房の中です。皆が忙しく仕事をしているのに、彼、ヒカルは「カラオケに行こう」とか「面白い映画があるんだ」とか言って、私を遊びに連れ出そうとします。周りの人に申し訳ないと思う気持ちで躊躇していると、彼は私の手を握って強引に厨房から連れ出してしまうのです。厨房から出てどうなったかは、夢が途切れてしまうのでわかりません。
それにしても、仕事仲間を置きざりにして二人で遊びに行ってしまうとは、私はなんてあさましい人間なんでしょう。目が覚めた後、しばらくは恥ずかしさでいっぱいになります。
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