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エー「おはよう。今朝は少し寒いな。」
今日は先週から約束していた討伐クエストの日だ。
僕と彼女(中の人が女性かは知らない)は2ヶ月ほど前から時々パーティーを組んでいる。パーティーと言ってもご飯を食べたりお祝いしたりする方ではない。ゲームの話だ。ここは、いわゆる剣と魔法のファンタジーゲームの中なのだ。
ビー「おはよう。そう思うなら設定変えればいいのに。」
彼女とのゲームは面白い。彼女は僕と違って課金ゲーマーなのだが、その手の人がよくする、金ピカ装備だとか、すごく強いスキルなんかのガチャはやらない。広告表示のオフとか、触覚や味覚、平衡感覚なんかのインストールなど、あまり戦闘の役に立たないものに使っているらしい。
彼女曰く「よりこの世界を楽しむために」だそうだ。
エー「はははは。ビーよ、それではつまらんだろう。」
でも、だからこそ彼女とのゲームは面白いのだ。
ビー「エー、何食べてるの。」
僕はビーラン。たぶん常識人でちょっとヲタクで、なんとなくもうこのゲーム辞めようかなって少し前まで思ってた。でも彼女のおかげでちょっと楽しくなってきちゃった無課金ゲーマー。
エー「ホットドックだ。分けてはやらんぞ。」
彼女はエームス。たぶん変な人でちょっと慣れてない感じがあって、でもその目はいつもランランと輝いている。この世界を全力で楽しんでる真っ最中の課金ゲーマー。
ビー「……まだ街すら出てないのに、なんで先に回復使っちゃうのさ。」
エー「買ってすぐに食べないと冷めちゃうじゃ……冷めてしまうだろう!」
これは、山あり谷ありな、けれどワクワクはいっこうに止まらない、そんな僕たちの冒険の記録。
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